『呪術廻戦』8巻は、前巻から続く「起首雷同編」のクライマックスと、新章「懐玉編」へと突入する重要な転換巻です。
壊相・血塗との戦いに終止符が打たれた後、物語は五条悟と夏油傑の学生時代を描く過去編へと進み、「呪術界最強」が形成される原点が語られます。
この記事では、呪術廻戦8巻の収録話の流れをネタバレありで詳しく紹介し、各エピソードの要点を整理してお届けします。
この記事を読むとわかること
- 呪術廻戦8巻の各話のストーリーと重要な出来事
- 虎杖・釘崎の成長と五条・夏油の過去エピソード
- 呪術界における星漿体の役割と懐玉編の始まり
壊相・血塗との戦いはどう終わる?虎杖・釘崎の決着
呪胎九相図の兄弟・壊相と血塗との戦いは、虎杖悠仁と釘崎野薔薇の成長が色濃く描かれる激戦となりました。
2人は自身の覚悟と術式を駆使して呪物に挑み、最終的に勝利を収めるものの、その過程には深い葛藤と痛みが刻まれています。
この戦いは単なるバトルではなく、呪術師としての在り方や倫理観に読者を向き合わせる重要な局面でもあります。
釘崎の黒閃と「簪」で血塗を撃破
激闘の末、釘崎は「黒閃」を成功させ、続けて自身の術式「簪(かんざし)」で血塗を撃破します。
この黒閃の描写は、釘崎の才能と実力が一段階上がったことを強く印象づけるものであり、単なるサブキャラではない存在感を放っています。
「黒閃」は呪術戦における一つの到達点とも言える現象であり、それを放つ釘崎の姿は読者に大きな衝撃を与えました。
壊相の涙が虎杖を迷わせる展開とは
血塗を倒した直後、虎杖は壊相に対してトドメを刺す一歩手前で手を止めます。
壊相の流す涙が、人間的な感情を含んでいるように見えたことで、虎杖はその「呪い」の存在に苦悩します。
ここでは「呪霊もまた生きている存在なのか?」という哲学的な問いが浮かび上がり、呪術廻戦という作品の深みを物語っています。
壊相の逃走とトラック事件のその後
壊相は追撃を振り切り、偶然通りかかったトラックを強奪して逃走を図ります。
巻き込まれたトラックの運転手2人は大けがを負うも、後に家入硝子の治療で無事回復。
また、勝手に任務を続行した虎杖たちは、夜蛾学長に叱責される場面も描かれ、任務に対する責任感と自覚が求められる呪術師の姿が表されています。
事件後の余韻と新たな展開へ|共犯としての自覚と成長
壊相・血塗との戦いを経て、虎杖たちは呪術師として大きな成長を遂げます。
しかしその裏には、術師としての覚悟や葛藤が色濃く刻まれており、「ただの勝利」とは呼べない余韻が残ります。
とりわけ「共犯」という言葉が、このエピソードの感情的な焦点として印象的に描かれています。
虎杖の複雑な感情と伏黒の配慮
壊相を倒したものの、虎杖の胸には深い罪悪感と迷いが残ります。
それは、呪いとはいえ「人間のように涙を流す存在」を自分の手で殺めたという現実に他なりません。
伏黒はそんな虎杖の心情を察し、八十八橋の事件が宿儺の指によって起こったことを伏せます。
仲間としての思いやりと、術師としての冷静さの両面を持つ伏黒の行動に、チームとしての結束が表れています。
1級術師への推薦と任務の評価
事件後、虎杖・伏黒・釘崎・真希・パンダの5人は、東堂と冥冥の推薦によって1級術師候補として選ばれます。
これは呪術高専における大きなステップアップであり、彼らの実力と精神面の成長が認められた証です。
ただし、正式な1級術師になるにはさらなる任務と審査が必要であり、ここでの推薦はあくまで「通過点」に過ぎません。
それでもこの場面は、若き術師たちの未来に光が差す瞬間として、読者の胸に残る展開となっています。
釘崎と優子のやり取りが描く、虎杖の素顔
戦いを終えた後の日常描写として描かれるエピソードでは、虎杖悠仁の過去や人間味が浮き彫りになります。
釘崎と優子の会話を通して、これまで描かれなかった虎杖の中学生時代が垣間見えます。
重苦しい戦いの余韻をやわらげながらも、虎杖という人物の魅力を伝えるエピソードとして印象的なシーンです。
中学の同級生・優子の登場
ある日、釘崎が町を歩いていると、虎杖の中学時代の同級生・優子から声をかけられます。
優子は昔から虎杖に想いを寄せていたものの、自信がなく告白できなかったという過去を持っていました。
東京で偶然見かけた虎杖に再会したことをきっかけに、「今なら…」という気持ちが芽生え、釘崎に相談を持ちかけます。
この会話から、虎杖が過去にどのような人間関係を築いていたのかがわかり、彼の温かく誠実な性格が描かれます。
釘崎が見せる意外な一面
普段はクールで歯に衣着せぬ釘崎ですが、この場面では女子同士の恋バナに柔らかく対応する一面を見せます。
優子の想いを真剣に受け止め、背中を押すような言葉をかける釘崎の姿からは、仲間思いで人情味あふれる性格が感じられます。
また、虎杖に気があるのか?といった読者の想像もかき立てられ、キャラクター間の関係性に奥行きを与える回となっています。
「懐玉編」スタート!五条悟と夏油傑の学生時代
呪術廻戦8巻の後半から始まる「懐玉編」では、五条悟と夏油傑の高専時代の過去が描かれます。
この物語は呪術界の根幹をなす重要なエピソードであり、現代編に繋がる因縁や伏線が数多く散りばめられています。
「最強」と呼ばれる以前の五条が、どのようにして力を得ていったのかを知ることができる貴重な章です。
冥冥と歌姫の救出任務で五条が登場
物語は、冥冥と歌姫が呪霊の結界に閉じ込められる場面から始まります。
そこに現れるのが、学生時代の五条悟と夏油傑。2人は現在とはまた違う雰囲気を持ちながらも、既に圧倒的な実力を見せつけます。
五条の術式・無下限呪術により、結界をあっさりと解除し、冥冥たちを救出する様子からは、若き日の天才術師の片鱗が感じられます。
術式・無下限呪術の描写と失敗
五条は無下限呪術の能力で救出を成功させたものの、「帳(とばり)」を張り忘れるという致命的なミスを犯します。
一般人に術式を目撃されてしまい、騒動へと発展。この一連の流れは、強さだけではない五条の「未熟さ」や「粗さ」が浮き彫りになる場面です。
完璧な術師ではなかった頃の五条が、どう変わっていくのかを暗示する重要な描写として、物語の導入に厚みを加えています。
星漿体・天内理子の護衛任務が始まる
懐玉編の本筋として描かれるのが、「星漿体(せいしょうたい)」である天内理子の護衛任務です。
五条悟と夏油傑に課せられたこの任務は、呪術界の根幹に関わる重大な使命であり、2人の進む運命に深く影響していきます。
この章では、呪術界と天元様の関係性、そして星漿体の存在意義が徐々に明かされていきます。
天元との同化に向けた準備と任務の指令
五条と夏油は、夜蛾から任された任務として、天内理子の護衛とスケジュール管理を担当します。
天内は不死の存在・天元と「同化」するための適合者=星漿体であり、その存在が呪術界の安定を支える柱となるのです。
この任務は数日間の護衛を含み、天内が一般人として過ごす生活を維持しつつ、呪詛師からの襲撃を防ぐという難易度の高い内容でした。
呪詛師集団「Q」と盤星教「時の器の会」の襲撃
天内はその存在ゆえに、複数の敵対勢力から命を狙われます。
まず襲撃を仕掛けてきたのは、呪詛師集団「Q」。彼らは天内を抹殺しようとしますが、五条と夏油がこれを圧倒的な力で撃退します。
さらに、宗教組織「盤星教」の武装集団「時の器の会」も背後で動き出しており、物語は一層緊張感を増していきます。
星漿体を巡る争奪戦は、呪術界の深部にある価値観や対立構造をあぶり出していくのです。
天内の護衛と呪詛師との戦いの応酬
天内理子の護衛任務は、呪詛師たちによる執拗な襲撃によってさらに緊迫していきます。
五条悟と夏油傑は、迫りくる危機に対し、若き術師としての力を最大限に発揮して応戦します。
この章では、戦闘だけでなく、天内の人間性や想いも丁寧に描かれ、物語に静と動の緩急をもたらしています。
五条・夏油の実力が明かされる戦闘シーン
天内を狙う呪詛師は2人組で襲来します。
式神使いの呪詛師は夏油が即座に捕縛し、もう一人の強敵は礼拝堂に現れますが、五条が術式「無下限呪術」で瞬殺します。
この戦闘では、学生でありながら圧倒的な戦力を誇る2人の姿が描かれ、現在の「最強五条」の片鱗が見えてくる印象的な場面となっています。
天内の希望と日常描写がもたらす静と動
護衛される立場である天内ですが、ただの「守られる存在」ではありません。
彼女は「同化」前に少しでも普通の日常を過ごしたいと願い、学校で友人と過ごす時間を希望します。
このシーンでは、天内がひとりの少女として強く生きようとしている姿が描かれ、読者の感情移入を促します。
同時に、再び学校での襲撃が起きることで、平穏な時間がいかに儚いかを突きつけられる構成も秀逸です。
黒井の拉致と沖縄での救出劇
天内理子の護衛任務は一見落ち着いたかに見えましたが、さらなる波乱が訪れます。
突如として発生した黒井の拉致事件により、五条・夏油・天内の3人は、敵が指定した沖縄へと向かうことになります。
このエピソードは、ハードな護衛任務と束の間の平穏が同時に描かれ、物語の緩急が際立ちます。
取引場所・沖縄での奇襲と対応
黒井を人質に取られた五条たちは、取引に応じる形で沖縄へと移動します。
しかし、交渉は敵の罠であり、救出と戦闘が同時進行で行われる事態に。
それでも、五条・夏油は見事な連携と判断力で拉致犯を制圧し、黒井を無傷で救出することに成功します。
ここで描かれるのは、危機への冷静な対応力と術師としての実力です。
海水浴や観光を楽しむ一行の一幕
黒井の無事を確認した後、五条たちは沖縄で束の間の休日を楽しみます。
海水浴や観光に興じる彼らの姿は、これまでの緊迫した任務とのコントラストを生み、読者に安堵感を与える描写となっています。
特に、天内の笑顔や五条たちの無邪気な様子は、この後に待ち受ける運命を知る読者にとって、非常に切ない演出とも言えるでしょう。
それゆえ、この沖縄編は感情的なインパクトを残す重要なエピソードとなっています。
呪術廻戦 8巻のストーリーとキャラ関係の転機をまとめ
呪術廻戦8巻は、前半と後半で大きく構成が分かれていますが、どちらも物語全体において重要な転機となる内容が詰まっています。
虎杖たちの戦いと成長、そして五条・夏油の過去――2つの時代の物語が交差し、今後の展開に深く関わってくる要素が凝縮されています。
それぞれのエピソードから感じられるキャラクターの人間性と背景が、読者の共感を呼びます。
壊相・血塗との戦いの意味
起首雷同編の結末は、虎杖と釘崎にとって呪術師としての覚悟を問われる出来事でした。
呪霊に対する情や迷いを抱えつつも、最終的には任務を完遂する姿には、強さと同時に「人間らしさ」が表現されています。
壊相と血塗を倒したことで、今後脹相との因縁が深まっていくことも示唆され、物語はさらに複雑さを増していきます。
五条と夏油の過去が今後の展開に与える影響
懐玉編では、五条悟が「最強」に至る前の姿が描かれます。
また、現在の敵として登場する夏油傑の過去と葛藤を知ることで、彼に対する見方が一変する読者も多いでしょう。
この過去編は、キャラクターの背景を深く掘り下げるだけでなく、呪術界の闇や構造的な問題にも切り込む壮大な導入となっています。
8巻は、戦いとドラマが交錯する構成で、読後に「この物語はどこへ向かうのか?」という期待を自然と抱かせる巻だと感じました。
この記事のまとめ
- 壊相・血塗との激闘の結末と虎杖の葛藤
- 釘崎の黒閃と「簪」での覚醒が描かれる
- 五条と夏油の学生時代「懐玉編」が開幕
- 星漿体・天内理子の護衛任務が本格化
- 呪詛師との戦いで五条・夏油の実力が判明
- 沖縄での救出劇と束の間の平和も描写
- 呪術界の裏側と今後の伏線が多数登場