呪術廻戦77話「玉折-弐-」では、夏油傑の闇堕ちが決定的となる重要な回となりました。
特級術師・九十九由基との会話を通じて、「呪霊を根本から無くす方法」や「非術師の存在意義」についての思想が深く描かれ、夏油の中で大きな変化が生まれます。
また、灰原の死、天内理子の真相、美々子と菜々子との出会いなど、感情を大きく揺さぶられる展開が満載です。この記事では、呪術廻戦77話の感想を徹底的にまとめてお届けします。
この記事を読むとわかること
- 夏油傑が非術師を憎むに至った理由
- 九十九由基の思想と夏油への影響
- 灰原の死と夏油の堕落の決定的瞬間
呪術廻戦77話で描かれた夏油の堕落の決定的瞬間とは
この回では、かつての仲間と理想を共有していた夏油傑が、ついに非術師を否定する思想に傾倒していく様子が克明に描かれています。
仲間の死、特級術師との対話、そして自身の中で膨れ上がる矛盾と怒りが、彼を大きく変えていきます。
この変化は単なる感情の爆発ではなく、彼自身の選択と思想の積み重ねによるものであり、物語における重大な転換点となりました。
非術師を見下し始めた夏油の心理変化
77話では、任務後に訪れた村で非術師の住民が呪力の見えない存在を恐れ、少女たちを排除しようとする場面が描かれます。
その異様な光景に接した夏油は、非術師の愚かさと弱さに強い嫌悪を抱くようになります。
かつては「守る側」にいた夏油ですが、この時点では「非術師こそが呪霊の原因であり、根本的に世界を歪めている存在」と認識するようになり、内面的な断絶が明らかになります。
九十九由基の言葉が夏油を追い詰めた理由
夏油の変化を決定づけたのは、特級術師・九十九由基との対話でした。
彼女は「呪霊の根絶」という視点から、「非術師を全て排除する」ことも“ありうる選択肢”と語ります。
この発言は夏油にとって衝撃的であり、「自分の中に芽生えていた過激な思想が、特級術師の口から肯定された」という事実が、彼の良心を壊してしまう要因となりました。
九十九の言葉は強制ではなく提案に過ぎなかったものの、夏油の闇落ちの背中を確実に押す内容でした。
まとめ:理想と現実の乖離が生んだ悲劇
本話での夏油は、非術師による暴力や無理解、そして九十九の思想を通じて、守るべき存在への信頼を完全に喪失します。
それは呪術師としての在り方、仲間との絆、五条との関係性すら揺るがす大きな変化でした。
夏油が「非術師を皆殺しにすればいいじゃないですか」と発言するシーンは、その内面の決壊を象徴しており、ここに至るまでの丁寧な心理描写は、読者に深い余韻と喪失感を残します。
九十九由基の登場とその思想が与えた影響
77話では、謎に包まれていた特級術師・九十九由基がついに本格登場し、夏油と対話を交わします。
彼女の発言にはユーモアも交じりますが、その本質は非常にシリアスで、呪術界の根幹に関わる思想的な爆弾を投げかけるものでした。
彼女の思想は、夏油の揺れる内面に深く食い込み、決定的な影響を与えていきます。
呪霊を無くす2つの方法とは
九十九由基は、呪霊の発生原因について夏油に問いかけ、以下の2つの根本的な解決方法を提示します:
- ①全人類の呪力をゼロにする
- ②全人類が呪力をコントロールできるようにする
これは、呪霊が「呪力の漏出」から生まれるという前提に基づいたものであり、現状の呪術界が行っている“対処療法”とは異なる、原因療法的アプローチです。
このような視点は、夏油にとってはまさに目から鱗であり、非術師が原因ならばその存在自体を否定すべきではないかという思想を加速させるきっかけとなります。
高専と相反する九十九の理念とは何か
九十九は「高専キライ」と冗談交じりに語りますが、実際に彼女は高専の掲げる「呪霊を祓う」方針には明確に反対しています。
彼女の目的は「呪霊が生まれない世界を作ること」であり、それは呪術界の既得権益や構造そのものを揺るがす思想です。
この理念は一見すると理想主義に見えますが、彼女は「非術師を皆殺しにするという選択肢も”アリ”」と語るほど、現実的かつ過激な一面も持ち合わせています。
「やらないけど、否定もしない」という彼女のスタンスが、夏油に「自分が正しいのではないか」と錯覚させる危うさを持っていたのです。
まとめ:九十九は救世主か、それとも破壊者か
一見すると気さくで自由な術師である九十九ですが、その思想は呪術界を根底から変える力を秘めており、夏油のような揺らぎやすい理想主義者にとっては、強烈すぎる影響を与えます。
夏油は、彼女との対話を通じて非術師を排除する「正当性」に一歩踏み込んでしまいました。
九十九由基の存在は、この77話において単なる情報提供者ではなく、思想の火種として物語に深い余韻を残す役割を果たしています。
灰原の死とナナミンとの会話が示す喪失の重み
呪術廻戦77話では、灰原雄が命を落としたという衝撃的な事実が明かされ、物語の空気が一気に重苦しくなります。
前半では明るく天真爛漫に振る舞っていた彼の最期を、詳細に描くことなく提示することで、読者に深い喪失感とやるせなさを与えます。
そして任務から帰還したナナミンと夏油の会話は、悲しみと怒り、虚無感が交錯する非常に印象的なシーンとなっています。
灰原が遺した言葉と笑顔
前半で描かれた灰原は、無邪気で人懐っこく、思いやりにあふれた人物でした。
「たくさん食べる女の子がタイプ」と笑顔で語るその姿は、人間味あふれる好青年であり、そんな彼の死はあまりにも突然で、あっけなく感じられます。
このギャップが、より一層読者の心に衝撃を与えるのです。
加えて、夏油やナナミンとの関係性も深く描かれていたため、灰原の死は単なる“消費されるキャラの最期”ではなく、物語に重みと深みを与える出来事として強く印象に残ります。
夏油とナナミンの任務帰還後の描写
任務を終えたナナミンと夏油が交わす会話は、互いの無力感と罪悪感が滲み出たものでした。
特に夏油は、灰原の死をきっかけに自身の価値観と向き合わされ、強い動揺を見せます。
「灰原は死ぬために生まれたのか」という読者の思いに重なるように、夏油の心は徐々に壊れていきます。
ナナミンの姿もまた、感情を押し殺しながらも深い悲しみを抱えており、現実に押しつぶされる若き術師たちの姿が痛いほどに伝わってきます。
まとめ:術師としての限界が浮き彫りに
灰原の死は、呪術師という存在の限界を如実に描き出しています。
いくら力を持っていても、守れない命があり、理不尽な現実に直面する。
この経験が、夏油の「非術師を守るべきか?」という根源的な問いを再燃させ、後の選択へとつながっていくのです。
同時に、ナナミンというキャラクターの冷静で現実主義的な人格形成の背景にも、この出来事が大きく関わっていることがわかります。
伏黒甚爾の存在と「呪力ゼロ」が意味するもの
77話では、伏黒甚爾(とうじ)というキャラクターの特異な存在性が改めて強調されます。
彼は呪術師としては致命的とも言える「呪力ゼロ」の体質でありながら、歴史に名を刻むほどの実力者でした。
この設定は、呪術界の価値観を根底から揺さぶるものであり、同時に禪院家や夏油らの思想にも深く影響を与えることになります。
特異体質がもたらす呪術界への影響
伏黒甚爾は、完全に呪力を持たない肉体でありながら、呪具や体術によって特級術師と互角以上に戦える存在でした。
この「呪力ゼロ」という体質こそが、呪霊のターゲットにならず、呪力感知に引っかからないという究極のステルス性をもたらしています。
77話で九十九由基が語った「呪霊を無くすためには全人類の呪力をゼロにすべき」という話に対し、伏黒甚爾こそがその“理想像”であると夏油が認識したのは必然とも言えます。
禪院家の因縁と甚爾の評価
伏黒甚爾は、名門・禪院家の生まれでありながら、その“呪力ゼロ”という体質ゆえに迫害されてきた過去があります。
しかし、皮肉にもその特異性こそが彼を唯一無二の存在へと押し上げました。
九十九も「禪院家がまともなら、伏黒甚爾は呪術界の宝だったかもしれない」と語り、呪術界の閉鎖的体制への批判もにじませています。
このように、伏黒甚爾の存在は単なる“強キャラ”にとどまらず、呪術という仕組みそのものに対する異議申し立ての象徴でもあるのです。
まとめ:理不尽な才能と構造への警鐘
伏黒甚爾というキャラクターは、呪術廻戦の中でも極めて異質な存在でありながら、作品全体の根幹に関わるテーマを体現しています。
その「呪力ゼロ」がもたらす影響力は、単なるバトルの強さではなく、呪術界の矛盾や偏見を浮き彫りにする存在意義に他なりません。
彼のような存在がいたことが、九十九の思想にも夏油の決断にも深く繋がっているのです。
美々子・菜々子との出会いと村での惨劇
77話の終盤では、夏油が運命を決定づける最悪の行動を取る場面が描かれます。
彼が赴いた村での出来事は、非術師への絶望と怒りが臨界点に達した結果であり、夏油という人物の“完全なる崩壊”を象徴しています。
そして、このタイミングで登場するのが後に彼の側近となる美々子・菜々子の2人です。
非術師に見切りをつけた夏油の決断
村で起きていたのは、呪霊が見えない非術師たちが少女(美々子・菜々子)を“気味が悪い”と恐れ、隔離・排除しようとする悲劇でした。
その様子に立ち会った夏油は、もはや説得や対話を試みることなく、非術師たちの醜悪さと無理解に限界を迎えます。
もはや言葉も届かない、そんな彼らを見て夏油は静かに覚悟を決めました。
この瞬間、彼の中では「非術師を守るべき存在」から「排除すべき存在」へと認識が完全に反転していたのです。
夏油が下した「非術師皆殺し」の行動
少女たちを守ると誓い、夏油は彼女たちを外へ連れ出します。
そしてその後に響き渡るのは、村中にこだまする断末魔の叫び声。
夏油は非術師100人以上を殺害し、かつての仲間だった「守る者」から「呪術界最大の敵」へと変貌を遂げました。
この行動はもはや後戻りできるラインを完全に越えており、夏油の堕落が確定した瞬間と言えるでしょう。
まとめ:夏油にとっての“救い”と“絶望”
皮肉にも、夏油にとっての“正義”は非術師たちによって否定され続け、守る意義そのものが失われていきました。
その中で出会った美々子と菜々子は、彼にとっては「救う価値のある存在」として映ったのでしょう。
しかし、その選別こそが夏油の変質を象徴しており、彼が「全ての人間」を守ろうとしていたかつての理想は、完全に崩れ去ったのです。
呪術廻戦77話の感想と読み解きポイントまとめ
呪術廻戦77話は、夏油傑の完全なる変貌を描いた、物語全体における極めて重要なエピソードとなりました。
仲間の死、特級術師との対話、非術師との決定的な断絶といった複数の要素が、一人のキャラクターの価値観を破壊し、呪術廻戦という作品のテーマの深さを改めて際立たせています。
この章を通して、正義とは何か、守るとはどういうことかという問いが、読者の心にも深く突き刺さります。
夏油の選択が作品全体に与える影響
この話の最大のポイントは、夏油が思想だけでなく行動として“敵”の側に回ったことにあります。
それは「呪術師」としての裏切りであり、かつての親友・五条悟との関係にも決定的な亀裂をもたらす結果となります。
以後、彼が歩む道は「敵」としての夏油であり、その背景を知った今、彼の言動一つ一つに説得力と哀しみが宿って見えてくるのです。
九十九由基の存在が今後どう関わるのか
今回の話で重要な役割を果たした九十九由基は、ただの通りすがりではなく、夏油に“選ばせた”存在として描かれています。
彼女の思想は決して明確な悪ではなく、むしろ合理性を持った現実的な提案でもありました。
そのバランス感覚と、あえて決断を夏油に委ねた姿勢は、今後の物語でも再び大きな波紋を呼ぶ可能性を秘めています。
彼女の再登場時には、今回の“火種”がどのように再燃するのか注目したいところです。
まとめ:心に残る77話の余韻
この話のラストでは、非術師を大量に殺害した夏油が、静かに少女たちに「大丈夫」と語りかけます。
その姿には、かつての優しさと、今の冷酷さが混在しており、読者に深い葛藤と感情の揺らぎを与えます。
呪術廻戦77話は、単なる過去編の一話にとどまらず、登場人物の内面をえぐるように描き切った圧巻の回でした。
この余韻を抱えたまま、次なる展開を静かに見届けたいと思います。
この記事のまとめ
- 夏油傑が非術師を皆殺しに至るまでの心理描写
- 九十九由基との対話が夏油に与えた決定的影響
- 灰原の死が物語と登場人物に残した喪失感
- 伏黒甚爾の存在が呪術界に投げかけた異端性
- 美々子・菜々子との出会いと夏油の覚悟の瞬間