呪術廻戦64話の感想｜小沢回「そういうこと」で描かれる虎杖の人間性と釘崎の本音とは？

『呪術廻戦』原作64話「そういうこと」は、激しい戦闘が続いた九相図編の直後に挿入された、日常回でありながら多くの読者に深い印象を残したエピソードです。

この記事では、呪術廻戦64話の感想を中心に、虎杖と小沢優子の過去の接点や、釘崎・伏黒との微笑ましいやり取りを振り返りながら、キャラクターたちの魅力や成長を丁寧に解説します。

また、本話がどのように今後の展開やキャラ描写につながっていくのかを考察しつつ、感情の機微が繊細に描かれた本話の見どころを紹介します。

呪術廻戦64話「そういうこと」の核心は、小沢優子と虎杖の再会シーン

激しい戦闘の余韻が残る中で描かれる64話は、一見すると箸休めのような日常回ですが、その中心にあるのが虎杖悠仁と小沢優子の再会です。

この再会は、ただの再会ではなく、人としての優しさや、過去のつながり、成長の証を静かに浮かび上がらせる重要な場面として描かれています。

派手な術式も戦闘もないからこそ、キャラクターの人間性がより濃く滲み出る回となっています。

半年ぶりに再会する二人のやり取りに込められた意味

小沢優子は、虎杖の中学時代の同級生。

半年前、卒業式の日に勇気を出して撮ったツーショット写真を手に、変わった自分を見てもらいたいという思いで虎杖を探します。

再会した際、虎杖が何の迷いもなく「小沢じゃん」と気づいたことに、彼女が救われたことは言うまでもありません。

人の見た目ではなく本質を見る虎杖の視点が、優子の「もしかしたら…」という希望に寄り添う結果となりました。

「強いて言うなら小沢」発言の真意と虎杖の優しさ

回想シーンで語られた、虎杖の「強いて言うなら小沢」という発言。

それは周囲の男子が「デブじゃん」と揶揄する中でも、小沢の字や食べ方が綺麗であることを素直に認める虎杖の価値観を象徴する場面です。

この言葉がきっかけとなり、小沢は自分を見つめ直し、成長の一歩を踏み出しました。

「好きになる理由は見た目だけじゃない」という虎杖のスタンスは、今の彼の行動や仲間への接し方にもつながっていると感じます。

64話は、そんな虎杖の本質を、派手な演出抜きで静かに、しかし確かに伝えてくる回なのです。

釘崎の複雑な心境に共感の声！「胸がもやっとした」の正体とは？

64話では、虎杖と小沢の再会を見守る釘崎野薔薇の心の揺れが、これまでになく繊細に描かれました。

それまで強気でさばさばした性格が印象的だった釘崎が、「胸がもやっとした…」と自分の感情に戸惑う姿に、多くの読者が共感を覚えたことでしょう。

この「もやっ」が意味するのは嫉妬なのか、それとも別の感情なのか――釘崎の内面にスポットが当たった、貴重なエピソードです。

「天地がランバダを踊ってもない」と断言しつつも…

小沢から「釘崎さんも虎杖君のことが？」と問われた際、釘崎は間髪入れずに「天地がランバダを踊ってもない」と完全否定します。

しかしその直後、彼女の口からは「なんか今、胸がもやっとした…」という本音が漏れました。

否定の言葉とは裏腹な心の反応に、釘崎自身も戸惑っている様子が伝わります。

これまで「強い女」としてのイメージが強かった彼女の、等身大の少女らしさが垣間見えた瞬間と言えるでしょう。

虎杖に彼女ができることへの複雑な感情

最終的に釘崎は、自分の気持ちを「彼氏を作るより先に、虎杖に彼女ができるのがムカつく」と表現します。

これは恋愛感情とは別の、仲間への独占欲や絆の強さがにじむ言葉でもあります。

虎杖の存在が、それだけ釘崎にとって特別な位置を占めているということが、言葉の端々から感じ取れます。

感情の名前をつけられないまま揺れる彼女の姿が、物語に深みを与えていることは間違いありません。

伏黒が意外な一面を見せた？恋バナにノる姿が話題に

これまで感情をあまり表に出さず、冷静沈着な印象の強かった伏黒恵。

しかし64話では、恋バナに食いつくという意外な一面を見せ、読者の間でちょっとした話題になりました。

釘崎とのやり取りの中で見せた反応や、虎杖のプライベートに関する知識の深さが、彼のキャラクターをより身近な存在に感じさせてくれます。

釘崎に呼び出され不機嫌だったはずが、即着席して協力

任務後の帰宅途中、突然釘崎から呼び出された伏黒は、登場時こそ明らかに不機嫌な表情を見せます。

しかし、恋愛が絡む話と分かるやいなや、すっと席に座って話に加わるその切り替えは、ギャップのある魅力として描かれています。

伏黒の中にも年相応の関心や柔らかさがあることを感じさせる描写で、読者に新鮮な印象を与えました。

「虎杖に彼女はいない」と断言する理由とは

釘崎が「虎杖に彼女がいるか」を確認する場面では、伏黒はきっぱりと「いない」と断言します。

その根拠として、伏黒は「急に東京に来ることになったのに困った様子もなかった」「部屋にグラビアポスターが貼ってある」といった、日常の細かい観察を挙げます。

このやり取りからは、伏黒が普段から虎杖のことをよく見ていること、そして何気ない情報の積み重ねから的確な判断ができる人物であることが伝わってきます。

恋バナにもクールに対応する伏黒の姿は、今後の人間関係にも深みを与える存在として印象付けられました。

東堂と冥冥が語る「一級術師への道」から見える虎杖の未来

物語の序盤からずば抜けた潜在能力を見せてきた虎杖悠仁ですが、64話では「一級術師」への道筋が初めて明確に語られました。

東堂と冥冥という実力者の視点から、その条件や意図が提示されることで、虎杖のこれからがより現実味をもって迫ってきます。

単なる友情や感情ではなく、術師としての評価を受ける段階に来ているということが示された重要な場面です。

推薦に必要な条件と昇級の流れを解説

冥冥と卓球をしながら、東堂は虎杖を「推薦する」と明言します。

一級術師になるためには、以下のようなステップが必要とされています：

• 2名以上の一級術師からの推薦
• 一級術師または同等の術師との任務同行
• 準一級への昇格→単独任務→審査

虎杖はすでに推薦を得ている状態にあり、次なるステージへ進む準備が整いつつあることが分かります。

このプロセスの提示は、「実力主義の呪術界における昇級制度」を描くことで、読者に現実的な緊張感を与える構成になっています。

「運命ディスティニー」と語る東堂の情熱と現実のギャップ

東堂は相変わらずの強烈なキャラクターで、「虎杖ブラザーは絶対に推薦を受ける」と強調しつつ、「正に運命ディスティニー!!」と叫びます。

しかし冷静な冥冥は、「推薦を受けたからといって、同行するのは私たちではない」と事実を指摘。

東堂の情熱と現実とのギャップが浮き彫りとなり、理想と現実のすれ違いがコミカルに描かれる一方で、呪術師としての厳しさも感じさせられます。

このやり取りは、虎杖を取り巻く環境が仲間の想いだけでなく、制度や立場によっても大きく左右されることを示しているのです。

「そういうこと」というタイトルの本当の意味を考察

呪術廻戦64話のタイトルである「そういうこと」は、物語のキーとなるセリフであり、感情のすれ違いと理解の瞬間を象徴しています。

戦闘や呪術とは無縁の場面でありながら、人間関係における“察する”という機微を的確に捉えた回であり、日常の中にこそ人間の深さが表れることを教えてくれます。

言葉少なに状況を伝えるこの一言が、キャラクターの感情を見事に凝縮しています。

台詞に込められた照れと認識の共有

釘崎と小沢の「つまりそういう……ことね？」「はい！そういう……ことです！」というやり取りには、女性同士の気持ちの共鳴と照れが混ざっています。

あえて明確な単語を避けたこのセリフの応酬が、気持ちを言葉にしなくても通じ合える関係を印象付けます。

また、伏黒も同様に「そういうことか」と言いながら会話に加わるなど、この一言が登場人物全体に共通する認識の合図になっている点が印象的です。

言葉を使わない”気づき”の演出が光るシーン

小沢の外見は半年で大きく変わっており、普通なら気づかれないかもしれないところ、虎杖は迷いなく「小沢じゃん」と声をかけます。

これは見た目ではなく人の中身を見ている虎杖の人間性があってこそのリアクションです。

「誰？」ではなく自然に気づいたという事実が、強い感情の共有よりもはるかに深く、無言の“そういうこと”を伝えてくれます。

こうした“語らない演出”こそが、芥見先生の描く呪術廻戦の魅力の一つと言えるでしょう。

【呪術廻戦64話まとめ】感情の機微が光る日常回でキャラの魅力が際立つ

激しい戦いが続いた『呪術廻戦』の物語の中で、64話は異色ともいえる感情に焦点を当てた日常回です。

だが、その柔らかな雰囲気の中には、人間関係の繊細な描写やキャラクターの新たな一面がぎっしりと詰まっており、ただの「息抜き」では片付けられません。

作品全体に通じるテーマである“人の本質”や“繋がり”が、穏やかな時間の中で自然に浮かび上がった貴重な一話でした。

箸休めでありながら重要なエピソード

この回は、公式にも「九相図編の後の箸休め」と明言されていますが、実際には多くの意味が込められた構成となっています。

小沢の変化や、釘崎の微妙な心の揺れ、伏黒の意外な一面、東堂と冥冥による虎杖の今後を示唆する会話など、見どころが非常に多いのが特徴です。

戦闘のない日常描写だからこそ、キャラクターたちの内面がより深く掘り下げられています。

芥見先生の裏話と制作背景にも注目

原作者の芥見下々先生によると、当初このエピソードは五条が語るべき内容だったとのことで、「東堂に言わせたのはミス」と反省していたことが明かされています。

また、担当編集から「主人公にはモテてほしい」という要望があり、主人公・虎杖に焦点を当てた日常回として構成されたとも語られています。

このような制作背景を知ることで、64話の意図や意義がより深く理解できるのではないでしょうか。

単なる息抜きではなく、物語の”間”にこそ宿る感情と余韻が、視聴者・読者の心に残る――そんな静かな名シーンが詰まった回でした。