『呪術廻戦』9巻は、ファンの間でも特に人気の高い「懐玉編」のクライマックスと、「玉折編」の幕開けを描いた重要巻です。
五条悟が“最強”へと覚醒する瞬間や、夏油傑が呪詛師へと堕ちる決定的な出来事が、壮絶なバトルと心理描写を通して綴られます。
この記事では、『呪術廻戦』9巻に収録された第71話から第79話までの内容をネタバレ込みで詳しく解説し、物語の転換点となる重要な要素を一つひとつ丁寧に振り返ります。
この記事を読むとわかること
- 五条悟と伏黒甚爾の激闘と覚醒の真相
- 夏油傑が呪詛師へ堕ちた理由と背景
- 現代編へ続く伏黒恵登場と宵祭り編の導入
呪術廻戦9巻で何が起きたのか?最大の転機となる重要シーンを総まとめ
『呪術廻戦』9巻では、物語の世界観を大きく変えるような重大な事件が連続して描かれます。
五条悟が“最強”と称されるに至るまでの経緯と、親友・夏油傑の堕落の始まりが、緊迫した展開と共に明かされます。
ここでは、9巻で起きた重要シーンをピックアップし、読者の視点からその意味を詳しく紐解いていきます。
五条悟の“死”と“覚醒”──伏黒甚爾との再戦で見せた反転術式の核心
第71〜75話で描かれるのは、五条悟と伏黒甚爾の死闘です。
甚爾の奇襲により、五条は特級呪具「天逆鉾」で首を貫かれ、術式を強制解除されてしまいます。
まさに死に瀕する中で、五条は反転術式の“核心”に到達し、自力で治癒し蘇生。
その後の戦闘で術式反転「赫」、さらに虚式「茈(むらさき)」を使用し、甚爾を完全に圧倒・撃破します。
このエピソードは、五条が“最強”と呼ばれる由縁を初めて確立した決定的瞬間であり、シリーズを通じて語り継がれる伝説的な場面となっています。
夏油傑の変貌──非術師を殺す決断に至るまでの葛藤と引き金
一方で、五条と同じく呪術高専に在籍していた夏油傑は、非術師を守るという信念を持っていたはずの人物でした。
しかし、天内理子の死や人間の悪意を目の当たりにするうちに、信念に大きな揺らぎが生じていきます。
やがて彼は任務で訪れた村で、少女たちが非術師によって虐待されている現場に遭遇。
そこで、術師を守るために非術師を殺すという選択に至り、村人112人を自らの手で抹殺します。
この出来事は、後の「呪詛師・夏油」の誕生に直結するものであり、呪術廻戦の世界における“正義”の多面性を鋭く突きつける内容となっています。
「懐玉編」の終幕と「玉折編」の始まり|五条と夏油、決裂の瞬間
『懐玉編』の終盤から『玉折編』にかけて、物語は五条悟と夏油傑の友情が破綻する決定的な局面へと進みます。
一人の少女の死が、二人の術師の運命を大きく分け、呪術廻戦の世界全体にも大きな影響を与えました。
ここでは、五条と夏油の“別れ”のきっかけとなった出来事に焦点を当て、彼らがたどった感情の軌跡を読み解いていきます。
天内理子の死がもたらしたもの──揺らぐ信念と術師の孤独
懐玉編のクライマックスでは、天内理子が伏黒甚爾によって殺害されるという、あまりに衝撃的な展開が描かれました。
その場にいた夏油は彼女を守ることができず、五条も一度は命を落としかけて不在だったことで、2人の無力さが突きつけられることとなります。
この出来事は、夏油の「非術師を守るべき」という信念に深い亀裂を生み、現実とのギャップに苦しむきっかけとなりました。
五条は“最強”として前に進んでいく一方で、夏油はその陰で深い孤独と無力感に苛まれていたのです。
九十九由基との会話で見えた、夏油が抱えた世界観の変化
その後、夏油は高専に現れた特級呪術師・九十九由基と会話を交わします。
九十九は「呪霊の生まれない世界を作る方法」を模索しており、その可能性の一つとして“非術師のいない世界”を示唆します。
この会話は、夏油にとって一つの危険な思想への入口となり、もともと内に抱えていた葛藤を一層深める結果となりました。
この時点ではまだ行動に移してはいませんが、夏油の中では“非術師=呪霊の原因”という論理が芽生え始めていたことが読み取れます。
この思想の変化は、後に彼が「呪詛師」として堕ちていく導火線となる非常に重要なターニングポイントです。
呪詛師・夏油誕生──旧村落112人殺害の真実
『玉折編』の中盤では、かつて理想を語っていた夏油傑が、呪詛師へと転落する瞬間が描かれます。
信念と現実の狭間で揺れた彼が下した決断は、呪術界全体に激震をもたらすものでした。
ここでは、彼が旧村落で行った大量殺人と、それに至るまでの心の変化、五条との対峙を解説します。
夏油が目にした非術師の現実と、その時の心理
ある任務で訪れた旧■■村で、夏油は呪術師の少女たちが非術師により虐待・監禁されている現場を目の当たりにします。
そこで彼は、「守るべき存在」としていた非術師に対し、嫌悪と憎悪を抱くようになります。
九十九由基との会話で芽生えていた思想と、目の前の現実が結びつき、夏油は非術師を皆殺しにするという選択を下します。
この事件で彼は、村人112人を殺害し、呪詛師として呪術界から追放されることになります。
このシーンは、理想が現実に打ち砕かれる過程を強く描き、夏油の心が壊れていく瞬間を読者に突きつけます。
五条との決別の対話──止めることができなかった理由
旧村落での事件を知った五条は、夏油の元へ向かい、直接その真意を問いただします。
しかし、夏油は「非術師を殺し、術師だけの世界を作る」という自らの信念を堂々と宣言。
五条はその場で夏油を止めることも、捕らえることもできず、ただ見逃すことしかできませんでした。
ここで描かれるのは、かつて同じ理想を語り合った親友同士の決別であり、呪術廻戦という物語の根幹をなす深い喪失感です。
五条が“最強”であるがゆえに、救えなかった夏油――その後悔と重みは、彼の心に深く刻まれていくことになります。
現代編への橋渡し──伏黒恵との邂逅と宵祭り編の序章
『呪術廻戦』9巻の終盤では、過去編を経て物語は再び現代へと帰還します。
五条悟が出会うのは、かつて命を賭して戦った男・伏黒甚爾の息子、伏黒恵でした。
また、新たな陰謀の兆しが動き始め、「宵祭り編」へと物語は進行していきます。
伏黒甚爾の息子・伏黒恵との出会いが示す未来の布石
五条がかつて倒した伏黒甚爾には「恵」という名の息子がいました。
その存在を知った五条は、甚爾の遺志とは別に、彼の息子を呪術高専に導く決意を固めます。
「僕に置いていかれないくらい強くなってよ」と声をかける五条の言葉は、未来への希望を象徴しています。
このシーンは、五条の“教育者としての顔”が垣間見える瞬間でもあり、恵が後に物語の重要人物となる伏線でもあります。
虎杖たちと歌姫が挑む新たな敵の影──呪詛師内通者の正体とは
場面は2018年10月、呪術高専において内通者の存在が明らかとなり、虎杖や狗巻、パンダらが動き始めます。
教師である歌姫は、内通者を捕縛・尋問する計画を立て、その裏にある呪詛師との繋がりを明らかにしようとします。
これは次巻以降で本格的に描かれる「宵祭り編」への序章であり、渋谷事変への布石とも言える重要な展開です。
9巻の終盤は、過去から現代への橋渡しとして非常に巧妙に構成されており、読者に新たな期待感を抱かせる構成となっています。
呪術廻戦9巻の魅力と今後への影響を徹底解説まとめ
『呪術廻戦』9巻は、シリーズの中でも特に物語の転換点となる一冊です。
過去編の終幕と現代編の始まりが同時に描かれることで、キャラクターたちの内面の変化や時代の流れが明確に感じ取れます。
ここでは、9巻の総まとめとして、その魅力と今後の物語への影響を整理していきます。
まず、最大の見どころは五条悟の覚醒と夏油傑の堕落という対照的な変化です。
五条は“最強”の術師へと到達し、夏油は非術師を敵視する呪詛師へと堕ちていく――この2人の決別のドラマは、呪術廻戦全体の世界観に深みを与えています。
また、天内理子の死や旧村落事件といったエピソードを通して、「守るべきもの」と「壊すべきもの」の境界線がいかに曖昧で危ういかを描いており、読者に人間の善悪の本質を問う内容となっています。
さらに現代編では、伏黒恵の登場と内通者捜索といった新たな動きが始まり、「宵祭り編」そして「渋谷事変編」へと物語は急速に展開していきます。
9巻を読み終えた時点で、物語の奥行きとキャラクターたちの心理に強く引き込まれる感覚を覚える読者は少なくないはずです。
まさに、『呪術廻戦』という作品が「ただのバトル漫画」ではないことを証明する巻であり、今後の展開を理解するための必読巻だと言えるでしょう。
この記事のまとめ
- 五条悟が“最強”に至る覚醒の過程を描写
- 伏黒甚爾との死闘と術式反転「赫」「茈」の発動
- 夏油傑が非術師への絶望から呪詛師へ堕落
- 天内理子の死が2人の運命を大きく分ける
- 九十九由基との会話が夏油の思想転換に影響
- 旧村落112人殺害事件で夏油が呪術界から追放
- 五条と夏油の決別と交わせなかった言葉
- 伏黒恵と五条の出会いが描かれ未来に繋がる
- 内通者を巡る現代編「宵祭り編」への導入